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  野球の3拍子「走、攻、守」 〜連載第3回〜

「走、攻、守」3拍子がそろった選手が少ないのはなぜでしょうか。各動作を全く別の動作として覚えようとするからではないでしょうか。今回は野球に必要な基本的動作について考えます。

野球において必要な要素は、「走、攻、守」いわゆる走る、打つ、投げる、守るという基本的な動作です。
この時期これらのレベルを高めるために、各動作の目的別技術練習が行われたり、より効果を高めるために別メニューとして筋力トレーニングが一般的に行われています。
それは、「走、攻、守」の技術は筋力の上に成り立ち、技術練習ばかりしていても上達しないし、故障をするという方程式からなのでしょうか?


巷では、様々な理論としての「スポーツ医学」や、「科学的トレーニング」が言われているにも関わらず、故障者は減らず、あらゆるスポーツで世界との差がひろがっているのはなぜでしょうか?

それは、「走、攻、守」の動作を別々の動作と捉え、一つ一つを覚えようとしたり、筋トレの結果、偏った身体で硬い力に頼って動作を行っているからではないでしょうか。
例えば、走攻守の一つ「攻」の「バッティング」練習を例にあげてみても、練習を重ね、レベルアップすればするほど各段階において微妙な点、各関節の位置や角度など、あげればきりがないほどありますし、これらの全てを極めようとすると何年も歳月をかけながら、まとまらずに中途半端で終わってしまったりします。

また、トレーニングにおいても、「何回素振りしたら」とか、「何時間練習したら」とか、「何キロ持ち上げたら」ということにとらわれたり、疑問があっても自分の身体で考えようとせず、すぐに質問し教えられたことをそのまま鵜呑みにしたり、あるいは都合のいいように解釈し、自分にあうように変更して練習しているケースが非常に多いと思います。このように楽を求めるがゆえに、苦を作り、遠回りしているのです。

時間や回数は単なる目安にすぎず、大事なのは、『身体のどこに何を感じるかということ』を積み重ねていくことです。何かを感じなければ考えようがありません。
「走、攻、守」に限らず基本は体幹の深部の見えないところにあり、全ての動作、全ての生活に通じるものです。そこで、内部感覚を研ぎ澄まし、身体で考えなければ原理は見えてこないというものです。

来年からニューヨークヤンキースでプレーする松井選手はキャンプ時にバッティングのチェックリストを自ら作成し、それを一つずつクリアーできていることを確認し、シーズンを迎えるそうですが、このことは、身体の感覚がいかに重要であるかという良い例だと思います。

表面的なかたちだけの単なる習得は最終目標ではありません。
技術的な側面は原理そのものではなくそれの応用です。
言い換えれば、「技術」は本質的な原理が特定の状況に応じて現れたものであり、その技術をマスターしても状況が変われば対応不能となります。
技術に頼ることはそのマスターした技術の適応する場合のみに限定されるため、自ずと限界があります。

真の習得とは本質的な原理を理解したときに始めて可能となります。
テクニックというものは本質によく似たものですが、有る段階のレベルまで導いてくれるものであり、その後は身体内部の感覚が支配する世界となります。
したがって、個々の身体内部の感覚を言葉や文章で表現することは困難ですので、本連載で紹介しているエクササイズや練習中の各動作を反復し、自分自身で見極める訓練を行ってください。

本質的原理を理解するということは知識的な理解を意味するものではなく、真の自己の
発見は正しい動作を繰り返し続けることによってのみ得られるもので、その結果合理的な動作が可能となり、故障をせず、競技力を向上させていく近道となるはずです。

ご質問はinfo@kinetic.co.jpまで
   
■冬から春のコンディショニング
そろそろ進級、そして卒業、入学の季節です。新入生に多い故障として、シンスプリントがあります。指導者の方からも、最近の生徒は練習するとすぐ「痛い」と言う。ということをよく耳にします。
せっかく、希望をもって入部した生徒が、「痛い」ことによって不安を抱き、部活を離れていっては何にもなりません。生徒に対してモチベーションを高めるためにも、故障者を出さないことが第一条件になってきます。

「動作の本質」で述べたように手足で何かをしようとすると動作の本質から外れることになります。体幹がうまく使えていないと、前腕、下腿で動作をしようとしてしまいます。その結果、肩や股関節が硬くなり、更に前腕、下腿だけで動作をしようとします。それによって、前腕や下腿がどんどん緊張してきます。

新入部員に多い怪我は、前腕(肘)や下腿(すねや膝、足首周囲)に多いのはこういった背景があります。ボールを投げたり、打ったりする場合は手に意識は行きがちですが、で
きるだけ手足の意識をなくし、「いかに体幹をうまく使うか?」「いかに自分の意図
する通り身体を使えるようになるか?」が重要です。
また、前腕、下腿の筋肉の形は羽状筋(鳥の羽状のかたちをした筋肉)が多いためス
トレッチで伸ばす方向を考えることが重要です。
   
(報知新聞社出版「報知高校野球」2003年3月号掲載)


連載第1回:合理的な身体の使い方と心の調和
連載第2回:筋力トレーニングを再考する
連載第3回:野球の3拍子「走、攻、守」
連載第4回:野球の達人を目指すバランストレーニング
連載第5回:野球の達人を目指すバランストレーニング
連載第6回:野球の達人を目指すバランストレーニング
連載第7回:野球の達人を目指すバランストレーニング
連載第8回:野球の達人を目指すバランストレーニング
連載第9回:野球の達人を目指すバランストレーニング
連載第10回:野球の達人を目指すバランストレーニング


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