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かつては、野球選手にとってタブーであった筋力トレーニングも今では幅広く一般的に行われています。では「その目的は?」と聞かれてあなたは何と答えますか?「筋トレで故障防止、飛距離アップ」なんて声が聞こえてきそうです。
しかし、ほんとうに筋トレで故障者を減らし、競技力を向上することができるでしょうか?
皆さんの頭の中にも、『故障=筋力不足』『飛距離あるいはスピードがでない=筋力不足』という公式ができているのではないでしょうか?
故障する原因は、筋力ではなく、非合理的な動作から生じる身体の偏りにあります。例えば足首の柔軟性に左右差があるにも関わらずスクワットを行うと、曲がりやすい足首の方に身体が傾き、繰り返し続けていると全身のバランスを崩すことになります。
ほかにも、ランニング時、曲がりやすい足首は接地時間が長く、曲がりにくい足首はつま先に力がかかり過ぎることから、走ると片方の足だけ痛くなるという結果になります。このような例からも、身体の偏りをなくすことが重要であるということがわかると思います。
また、競技力向上に関してこんな興味深いデータがあります。
『筋トレで垂直跳びがアップするかどうか』を検証するため、一定期間あるグループは筋トレだけを、あるグループは垂直跳びだけを行いました。その結果、垂直跳びだけを行ったグループの方がアップ率は高かったというのです。
これは、パフォーマンスを向上させようと思うと、筋肉のみを鍛えるよりは、まずその動作そのものを正しく繰り返した方が有効であるということを意味しています。
感性を無視した、がむしゃらな筋トレは浅層の筋を主に鍛えるため、力みを生みやすくなります。同じトレーニングを行っても働きやすい筋肉と働きにくい筋肉があり、これらには個人差や左右差があります。いかにエネルギーのロスを少なくし、その動作の質を高めるかということが重要になるのです。
対策方法
では、何をどうすればよいか?
目に見える大きな筋肉より、見えない深部の筋をいかに動かすか?ということを身体で考えましょう。これは、自分自身を見つめなおさないとできないですし、また、このような動作は自分自身の心が安定していないとできません。安定するためには、腸陽筋が機能していないとできないことになり、腹が据わるという古い言葉につながります。
重たいものをただがむしゃらにあげているだけでは、重たいものをあげられるようになっても、それが野球の競技力向上にはつながらないどころか連載のテーマである
「身体の局所と全身の調和」
「身体と心の調和」
「合理的な身体の使い方」から逸脱しています。
最近の風潮として全てのものが、実践よりも理論、経験よりも知識偏重によって行われています。
特に身体感覚というものは学問になりにくく、研究対象としては非常に難しいものです。しかし、生きた身体【自分自身】をみなければ単なる物としての理論から出発してしまいます。
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