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当連載では、バランスを整えること(正しい身体の使い方)により、障害防止と競技力向上を目指します。動作のスピードを生み出すのは力だけではありません。日本古来の武芸の達人のように、無理、ムラ、無駄のない合理的な動きを身につけましょう。第1回は「なぜ故障をするのか?」
です。
同じ練習をしてもすぐ故障する選手としない選手がいませんか?指導者や選手、保護者にとってスポーツによる故障はもっとも頭の痛い問題ではないでしょうか。
「この故障さえ治れば…。」今夏の甲子園でも故障に泣いた選手やチームが多数ありました。
同じ年齢の選手が、同じ練習を行ってもすぐ故障をする選手としない選手がいます。
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また、監督さんから「昔の選手はこれぐらいでは故障しなかったのに・・・。最近の選手はちょっと無理するとすぐ故障する。」というような話をよく耳にします。
すぐ故障する選手と故障しない選手の違いはどこにあるのでしょうか?
症状があるにも関わらず、「検査をしても異常がない。」でも「投げると痛い。」「走ると痛い。」という選手が多いのはなぜでしょうか。
故障の原因は、筋力でしょうか? 柔軟性でしょうか? 練習環境でしょうか? それとも選手の根性が足らないからでしょうか?
本連載では、野球における障害防止、競技力向上を目的に、誰もが頻繁に使う『バランス』という言葉を、「合理的な身体の使い方」「身体と心の調和」「身体の局所と全身の調和」捉えて考えていきます。
「人の心も物にうつればはっきりと現れ、一つの動きに執着すれば必ず心は見えるようになる。」とは、剣の達人、柳生宗矩(やぎゅうむねのり)の言葉です。これは、私たちの心はあることに執着しがちであるということ。心は色も形もなく目で見えるものではないということ。そして、心が何かに執着すると心はそのまま見えるようになるということを説いています。
これを野球に置き換えれば、手を使う動作(スポーツ)は手に頼り、足を使う動作は足に頼り、道具を使う動作は道具に頼ろうとする、と考えられます。
例えばボールを投げる場合なら、ボールを持つ手に意識が集中し、力を生み出す体幹が手薄となります。本来、手はボールと体幹をつなぐものであるにもかかわらず、手足や道具に頼ってしまうと本末転倒。
結果的に、身体のバランスを狂わせ、非合理的な動作になってしまい、肩や腰や肘にストレスがかかることになります。このような動作を繰り返すと、故障がちになり練習を積むことができなくなり、ごまかしながら試合に出ることになります。
そうなると当然、競技力も向上してきません。
監督「どうした?」
投手「肩の調子がおかしくて。」
監督「いつからなんだ!?」
投手「張った感じはあったんですけど、今日投げると痛くて」
監督「なぜ、もっと早く言わなかったんだ!!」
投手「すみません、、、。」
監督「とりあえず、今日はノースローで、アイシングしておけ!!」
よく耳にする会話ですが、エースが突然こんなことになったら大変です。
痛みとは結果であり、根本的な原因が必ず身体の中に存在するはずです。
にもかかわらず、局所に対する対症療法だけでは根本的な改善は期待できません。
それどころか、結果的に選手寿命を短くしてしまいます。
大切なのは、効率的に滑らかに円滑に動くことです。
そのためには、自分の身体がどのようになっているかを知り、円滑に動けない原因を改善することです。
イチロー選手も「そのかたちではなく、その感覚が大切だ」と言っていますし、心が対象(局所)にとどまると、そこに意識が集中し他は手薄となります。
表面的なかたち(症状)に隠された動作の本質に目を向け、物事の枝葉にとらわれず、自分自身の内に目を向けることで浅層の骨筋だけでなく深層筋との調和が生まれ、腸腰筋を中心に体幹が主に働く身体の使い方から真の合理的動作が生まれてくるはずです。
次号からは、故障を防ぎ競技力を向上させるために、どのように身体を捉え、何をすればよいか具体的な方法をご紹介します。
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| ■コンディショニングの考え方(季節に心身を調和させる) |
春夏秋冬のコンディショニングは自然と調和するのが重要です。
夏は草木が最も成長し、人間も活動的になります。練習でもしっかり汗をかき水分を取るように心掛けてください。気分的にも発散しないと身体内に熱がこもり逆に暑く感じます。そうなると冷房や冷飲を欲するようになり風邪や下痢につながります。
秋は全てのものが見を結ぶ時期です。選手にとっては、試合や練習の結果を出す時期です。夏の疲れを早く取り、練習は身体を休める方向で考え、質の高い刺激を入れ、発汗し過ぎないように心掛け、発汗した場合もすぐふき取るように心掛けてください。
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(報知新聞社出版「報知高校野球」2002年9月号掲載)
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